利息制限法に違反した場合どうなるのか?
Q.利息制限法に違反した場合どうなるのか?
A1.利息の契約及び債務不履行による賠償額の予定のうち利息制限法所定の制限超過部分は,絶対的に無効となる。 そして,貸主がすでに制限超過部分に相当する金銭を受領していた場合には,制限超過部分は残存元本に充当される。 さらに,この元本充当により計算上元本が完済となった時以後に支払った金銭(過払金)は,不当利得として返還を請求することができる。
A2.行政処分の対象となる。 また,年利20%を超え109.5%以下の利率の利息の契約を締結した場合,5年以下の懲役もしくは1000万0000円以下の罰金,またはこの両方の刑罰を科せられる。 年利109.5%を超える利率の利息の契約を締結した場合には,10年以下の懲役もしくは3000万0000円以下の罰金,またはこの両方の刑罰を科せられる。
利息制限法違反の3つの問題・・・
利息制限法に違反した場合,3つの問題があります。
1つは,民事上にどうなるかという問題です。 要するに,借金の金銭的な処理をどうするのかという問題です。
2つ目は,刑事上どうなるかという問題です。 これは刑事処分,つまり利息制限法に違反した業者を犯罪者として刑罰を科すべきかどうかという問題です。
3つ目は,行政上どうなるかという問題です。 利息制限法に違反した業者を,行政的にどのように取り締まっていくのかという問題です。
以下は,民事上の問題とその他の問題に分けてお話します。
民事上の問題・・・
まず,民事上どうなるのかについてですが,利息の契約と債務不履行による賠償額の予定のうち,制限超過部分は絶対的に無効となります。
絶対的に無効とは,誰でも,誰に対しても,いつでも,どんな場合でも,理由を問わず無効を主張できるという意味です。
ただし,利息契約・賠償額予定全部が無効となるわけではありません。 制限超過部分のみが無効となるのです。
無効となるということは,制限超過部分の取決めは無かったことになります。 したがって,貸主の方が,その部分に相当する金銭を受け取っていた場合には,取決めもないのに,理由なく金銭を受け取っていたということになります。
そのため,この金銭は,貸主が持っていることはできないはずです。 そこで,この制限超過部分の金銭は,まず元本に充当されます。 簡単に言うと,元本に対して支払いをしたことにする,ということです。
さらに,元本に充当してもなお余りがある場合には,逆に貸主に対して,余った分を返せと言うことができます。 これが一般に言う「過払金(過払い金)」です。 法的には,「不当利得返還請求権」と言います。
例えば,元本100万円を年利30%で借りたとします。 これを1年間で,元本50万円,利息30万円を返済したとします。 そうすると,形式上,借金は50万円残っているように見えます。
しかし,利息制限法の制限利率は年利15%までです。 したがって,利息のうち15万円は払いすぎということになります。
そこで,この払いすぎた15万円は元本に充当されます。 つまり,支払った元本50万円にこの15万円を加えて,合計で元本は65万円支払ったという扱いになるのです。 その結果,残った借金は元本35万円だけになります。
仮に,返済したのが元本90万円,利息30万円だったらどうでしょう。 この場合,まず,利息のうち15万円は払いすぎなので,残元本に充当されます。
しかし,残元本は10万円です。 この10万円に払いすぎた15万円を全部充当しても,まだ5万円が余ります。 これが「過払金」です。 つまり,この5万円は返還を請求することができるのです。
刑事・行政上の問題・・・
次に,刑事・行政上どうなるのかについてですが,今のところ,利息制限法の制限利率を超える利息であっても,出資法の上限金利である年利29.2%を超えない限り,刑罰の適用はありません。 いわゆるグレーゾーン金利と呼ばれるものです。
このグレーゾーン金利で利息を取っていたとしても,刑罰が科されないばかりか,よほど悪質な取立てなどをしない限り,行政処分もほとんどなされないのが現状です。
しかし,今後は違います。 今後,平成22年までには貸金三法が改正されていく予定です。 それにより,金利規制も相当厳しくなっていきます。
まず,利息制限法違反の利息の契約を締結した場合等は,貸金業法によって,原則として行政処分の対象となります。 営業停止や登録の取消などかなり厳しい処分が下されるのです。
さらに,出資法の上限金利が20%にまで引き下げられます。 その結果,年利20%を超える利息の契約を締結した場合等は,行政処分のみならず,刑罰の適用をも受けることになります。 この場合は,行政処分と刑事処分の両方の対象となるのです。
具体的には,以下のようになります。
年利20%を超え109.5%以下の場合
→ 5年以下の懲役,1000万0000円以下の罰金,またはその両方
年利109.5%を超える場合
→ 10年以下の懲役,3000万0000円以下の罰金,またはその両方
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どうして消費者金融等は利息制限法に違反しているのに罰せられないのか?
Q.どうして消費者金融等は利息制限法に違反しているのに罰せられないのか?
A.利息制限法には罰則規定がないからである。
どうして消費者金融は罰せられないのか・・・
どうして消費者金融等は利息制限法に違反しているのに罰せられないのかという点について,疑問に思う方がいると思います。 しかし,理由は簡単です。
それは,罰を与える法律がないからです。
利息制限法と出資法・・・
刑罰を与えるには,その根拠となる法律の規定がなければなりません。 これを「罪刑法定主義」といいます。
したがって,利息制限法に違反した場合に罰則を科する旨の規定が,利息制限法かその他の法律に規定されている必要があります。
ところが,利息制限法には同法に違反した場合の罰則規定がありません。 その他の法律はどうかというと,暴利については,出資法に罰則規定がありますが,出資法の上限金利は,貸金業者の場合29.2%です。
つまり,この29.2%を超える金利を取っていた場合にだけ罰せられ,これ以下であれば,利息制限法の制限利率を超えていたとしても罰せられないのです。
利息制限法の制限利率は15〜20%です。 したがって,この15〜20%から29.2%までの間の利息をとっていたとしても,罰則の規定がなく,罰せることができないということになります。
このような「利息制限法違反ではあるが出資法違反ではない金利」のことを,「グレーゾーン金利」と呼んでいます。
グレーゾーン金利の今後・・・
しかし,今後は違います。 出資法が改正になり,上限金利が,20パーセント程度にまで引き下げられる予定です。 つまり,利息制限法とほぼ同じ利率にまで引き下げられるのです。
こうなると,利息制限法違反≒出資法違反ということになりますから,出資法の罰則規定によって,利息制限法違反を処罰することができるようになるのです。
これによってグレーゾーン金利はほぼ撤廃されることになるでしょう。
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利息制限法は,どのような場合に適用されるのか?
Q.利息制限法は,どのような場合に適用されるのか?
A.金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約及び損害賠償額の予定が,同法所定の制限を超える場合。
利息制限法の適用範囲・・・
【利息制限法 第1条】
1 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は,その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは,その超過部分につき無効とする。
元本が10万円未満の場合
年2割
元本が10万円以上100万円未満の場合
年1割8分
元本が100万円以上の場合
年1割5分
【利息制限法 第4条】
1 金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は,その賠償額の元本に対する割合が第1条第1項に規定する率の1.46倍を超えるときは,その超過部分につき無効とする。
利息制限法は,あらゆる利息について適用されるわけではありません。 「金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約」と「債務の不履行による賠償額の予定」について適用されます。
売買代金の利息などには適用されないので注意が必要です。
金銭を目的とする消費貸借とは・・・
消費貸借契約とは,借主が目的物と同種・同品質・同数量のものを返すと約束して,貸主から目的物を受け取ることによって効力を生じる契約のことをいいます。
つまり,何かを借りたけれども,その何か自体を返す必要はなく,その何かと同じ種類で同じ品質のものを同じ数だけ返せばよいという契約です。
この消費貸借契約は,主として,金銭の貸し借りに用いられます。 金銭を目的物とする消費貸借契約のことを金銭消費貸借契約といいます。
金銭消費貸借契約というと,何やら難しく思えますが,お金の貸し借りのことです。 借金をするということは,金銭消費貸借契約を交わすということです。
利息制限法にいう「金銭を目的とする消費貸借」とは,まさにこの金銭消費貸借契約のことであり,利息制限法が適用されるのは,この金銭消費貸借契約だけ,つまりはお金の貸し借りのときだけであるということになります。
したがって,金銭消費貸借契約以外の契約に基づくお金については,利息制限法は適用されないのです。
利息の契約とは・・・
利息制限法は,金銭消費貸借の「利息の契約」に適用されます。 つまり,借金の利息についてだけ適用されるというわけです。
したがって,売買代金の利息などには適用されません。
みなし利息とは・・・
なお,元本以外の金銭は,名目を問わず,利息とみなされます。 手数料とか調査料とかいう名目であっても,「利息」として扱われるということです。
つまり,借金の元本以外は利息として扱われ,利息制限法の適用があるのです。 これを,みなし利息といいます。
債務の不履行による賠償額の予定とは・・・
利息制限法は,消費貸借上の利息のみならず,消費貸借上の「債務の不履行による賠償額の予定」にも適用されます。 つまり,返済が滞納した場合の遅延損害金の取決めについても適用されるということです。
ただし,遅延損害金に適用される場合の利息制限の率は,利息の利率とはちょっと違っていますので,注意が必要です。
元本が10万0000円未満の場合
→ 年2割の1.46倍以内
元本が10万0000円以上100万0000円未満の場合
→ 年1割8分の1.46倍以内
元本が100万0000円以上の場合
→ 年1割5分の1.46倍以内
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利息制限法とは?
Q.利息制限法とは?
A.消費者を暴利から救済するため,利息の利率を制限する法律。
利息制限法とは・・・
利息制限法は,消費者を暴利から救済することを目的とします。 そのために利息の利率を制限しようというものです。
暴利とは,著しく高利率の利息ということです。 元来,借主は立場の弱いものです。 そこにつけこんで暴利をむさぼるというのは,今に始まったことではありません。
そのような不公平を是正して消費者を保護しようというのが利息制限法なのです。
目的達成のための手段・・・
利息制限法は,暴利から消費者を救済するための手段として,利息の利率を制限するという手段をとっています。 利息制限法の利率の制限は,以下のとおりです。
元本が10万0000円未満の場合
→ 利率は年2割(年利20パーセント)まで
元本が10万0000円以上100万0000円未満の場合
→ 利率は年1割8分(年利18パーセント)まで
元本が100万0000円以上の場合
→ 利率は年1割5分(年利15パーセント)まで
利息制限法の効力は・・・
利息制限法の制限を超える部分は無効となります。 この制限を超える部分を「制限超過部分」といい,利率の取り決めのうち制限超過部分が無効となるのです。
もっとも,利率の取り決め全体が無効となるわけではありません。 あくまで制限超過部分だけが無効となります。
例えば・・・
AさんはB社から50万円を借りることにしました。 その契約の際,利息の利率を25パーセントと取り決めました。
この場合,利息制限法によれば,利率は18パーセント以内でなければいけないので,利息制限法違反です。 そのため,18パーセントを超える部分は無効となります。
つまり,25−18=7パーセントの部分の取り決めは無効となるわけです。 Aさんは,7パーセント分の利息は支払う必要はないということになります。
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