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「任意に支払った」の意味について判断した判例 (最高裁判所第二小法廷平成2年1月22日判決)とは?

2009年10月08日

Q.「任意に支払った」の意味について判断した判例 (最高裁判所第二小法廷平成2年1月22日判決)とは?


A.みなし弁済の要件である「任意に支払った」とは,債務者において,その支払った金銭の額が利息制限法1条1項又は4条1項に定める利息又は賠償額の予定の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しないと判示した。



最高裁判所第二小法廷平成2年1月22日判決・・・


債務整理過払金の返還請求がまだ確立していない時代,債務者の最大の障壁となっていたのが,「みなし弁済」でした。


そんな中でなされたのが,この平成2年1月22日判例です。 この判例は,正直に言って,債務者にとってそれほど有利な判例ではなかったと考えられます。


すなわち,同判例は,みなし弁済の要件である支払の任意性について,その後のみなし弁済の成立を否定する数々の判例の土台となるべき,以下のとおりの判断をしたのです。


法43条1項にいう「債務者が利息として任意に支払った」及び同条3項にいう「債務者が賠償として任意に支払った」とは,債務者が利息の契約に基づく利息又は賠償額の予定に基づく賠償金の支払に充当されることを認識した上,自己の自由な意思によってこれらを支払ったことをいい,債務者において,その支払った金銭の額が利息制限法1条1項又は4条1項に定める利息又は賠償額の予定の制限額を超えていることあるいは当該超過部分の契約が無効であることまで認識していることを要しないと解するのが相当である。



上記判例の意味・・・


上記判例は,みなし弁済の要件の1つである支払の任意性について,「任意に支払った」というのは,債務者の方が,利息制限法所定の制限利率を超える利率の利息・遅延損害金であって本来無効となるべきものだと知りながら支払ったという意味ではなく,そういうことを知らなかったとしても,制限超過利息や遅延損害金が契約どおりに利息や遅延損害金に充当されるということを知ってさえいれば,その支払は任意の支払いとなる,と判断しています。


つまり,それが利息制限法に違反するものだと知らなくても,支払ってしまったら「任意に支払った」といえると判断しているのです。


しかし,もし債務者の方がそれが利息制限法に違反した利息等であると知っていたら,支払うはずがありません。 そのことを知らなかったからこそ,勘違いをして支払いをしているのです。


そう考えると,この利息制限法違反を知らずに支払ってしまったことを,「自分の意志で支払った」ものだと考え,みなし弁済の成立を認めてしまうことが妥当なのでしょうか?


利息制限法に違反する制限超過部分の支払いは本来無効なのですから,みなし弁済という制度が無効な支払いを有効としてしまうという理屈に合わない制度であることを考えると,もっと厳格に判断すべきではないかと思うのです。


つまり,単に利息等に充当されると思って支払っただけでは足りず,利息制限法に違反しており無効なことは知っているけれども,それでもやはり,あえて支払う,というごく例外的な場合にだけ「任意に支払った」と考えるべきだと思うのです。


ただ,幸いなことに,現在では,この判例を前提としつつも,最高裁は様々な理論を駆使して,みなし弁済の成立を否定する数々の判決をしています。 現在ではすでにみなし弁済が成立する場合はほとんどなく,法律上も廃止が決定しています。



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